前回の記事の続きです。
眉下切開特別講座 眼輪筋切除が必要な理由 連載④ 眼輪筋を切除しないとどうなる?
前回は、皮膚切除のみでは瞼を引き上げる効果が弱いことをイラストで説明しました。
では、そのことを手術中の様子を見ながら検証してみましょう。
まず、術中に皮膚切除のみ行い、皮膚を引き寄せたところです。
次に、眼輪筋切除を追加して、眼輪筋の断端を引き寄せたところです。
余分な眼輪筋を切除していますので、眼輪筋のプライケイション(折りたたみ縫合)
よりも引き上がります。
2枚の写真を並べてみます。
ここで注目すべきは、眉毛からまつ毛までの距離です。
眼輪筋を切除したほうが明らかに短くなっています。
皮膚切除のみでは、まぶたの引きあがりが弱いため、二重のラインがぼやけています。
眼輪筋を切除したほうは、まぶたがしっかり引きあがっているため、目の開きもよく、
二重のラインもはっきりしています。
皮膚と眼輪筋が同時に引きあがると下図のように
まぶたもスッキリ薄く、目の開きもよくなります。
一方、皮膚切除のみでは瞼を引き上げる効果が弱いため、
より大量の皮膚を切除すること(1センチ以上)になります。
(皮膚と眼輪筋をセットで切除する場合は通常5ミリ~7ミリです。)
しかし、皮膚だけ多く切除すればするほど余った眼輪筋(下図のピンク部分)が増大するため、
まぶたを厚くする方向に働いてしまい、目の開きもよくなりません。
大量に皮膚のみ切除して眼輪筋を残してしまうと、まぶたの中の正常なバランスを崩してしまいます。
これは、二重切開術や眼瞼下垂手術を受けた方により多く影響します。
本来、眉下切開で二重切開の不具合が治せるはずだったのに、より不自然な二重になってしまいます。
皮膚切除と眼輪筋切除が眉下切開の基本ですが、瞼が厚い方の場合
ROOFや眼窩脂肪を切除するとさらに効果が出ます。
次回は、眉下切開特別講座 眼輪筋切除が必要な理由 連載⑥ ROOF、眼窩脂肪を切除したら目がくぼむのか です。