前回の記事の続きです。
眉下切開特別講座 眼輪筋切除が必要な理由 連載⑤ 術中の様子
眉下切開では皮膚と眼輪筋の切除が基本ですが、まぶたが厚い方の場合
ＲＯＯＦや眼窩脂肪を切除します。
カウンセリングでよく質問されるのが、
脂肪を取ると、将来目がくぼんだり、凸凹するので取らないほうがいいと言われた、です。
では、眉下切開で脂肪を切除すると、瞼の中がどう変化するか見てみましょう。
皮膚、眼輪筋、ＲＯＯＦ、眼窩脂肪の順に切除していきます。
皮膚、眼輪筋を引き上げて縫合すると、まぶたは薄くなり、目の開きもよくなりますが、
瞼がくぼむことはありません。
ここで重要なのは、このイラストの眼窩脂肪（黄色）です。
元々眼窩脂肪は目の奥に大量にあり、切除するのはその中の一部だということです。
余分な眼窩脂肪を切除してもまだ目の奥には大量に眼窩脂肪が残っています。
ではどうなったらくぼみ目になるのでしょう。
くぼみ目のまぶたの構造です。
皮膚、眼輪筋、ＲＯＯＦはしっかり残っているのに目はくぼんでいます。
これと眉下切開の術後とを較べてみましょう。
赤丸は挙筋腱膜の先端です。
瞼板（緑）から挙筋腱膜が外れて目が開きにくくなると、
さらに目を開けようとして挙筋が強く収縮するため、
挙筋腱膜とそれに付着している眼窩脂肪（黄色）が大量に目の奥に移動し（黒太→）
眼窩隔膜（青）も奥に引っ張られます。
その結果、ＲＯＯＦや眼輪筋の厚みが残っているにもかかわらず、目はくぼみます。
これは眼瞼下垂の状態です。
眼瞼下垂が進行すると、眼窩脂肪が大量に目の奥に引き込まれるため、
どんなに瞼が厚い方でもくぼみ目になります。
眉下切開で切除する眼窩脂肪の量は、全体のごく一部です。
また、眉下切開で眼輪筋や脂肪切除をしても、瞼板と挙筋腱膜の接合部に触れることは一切ありませんので、
眉下切開が原因で眼瞼下垂になることもありません。
以上の理由で、眉下切開で脂肪切除をすると将来瞼がくぼむというのは、正しくはありません。
瞼が厚い方がせっかく眉下切開を受けるのであれば、脂肪を切除した方が確実に希望に近くなります。
皮膚切除のみの眉下切開を受けられて、期待した程の変化がなかったため再手術を受けられる方もいらっしゃいます。
時間と費用を無駄にしないようにして下さい。
次回は、眉下切開特別講座 眼輪筋切除が必要な理由 連載⑦実際の眼輪筋、脂肪切除の様子 です。
